分類 | 就職関連

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外国人材雇用の基礎知識とノウハウ

堺市で開催された外国人雇用支援セミナーの講演内容をまとめた資料です。深刻化する人手不足を背景に、外国人材を単なる労働力ではなく、事業成長や新市場創出をともに担うパートナーとして捉える視点を示しています。日本とアジア各国の人口動態、外国人労働者・留学生の現状、国籍別トレンドを整理し、在留資格や育成就労制度、ジョブディスクリプション、面接対応など採用実務を解説。さらに、宗教・文化への配慮やメンター制度などの定着支援策、インバウンド対応や海外展開につながる成功事例も紹介しています。

Content/学習内容

INTRODUCTION / 本資料について

深刻化する人手不足を乗り越えるための外国人材活用。その具体的な方法と最新のノウハウを体系的に整理しました。外国人材を単なる労働力ではなく、企業の成長を促す新しい市場創出のパートナーとして捉える視点を軸に、法的知識から定着支援、実例までを網羅します。

▶ 動画解説 / VIDEO
PART 01
ダイバーシティ経営の必要性
PART 02
採用の実践ノウハウ
PART 03
定着支援と成功事例

CHAPTER ONE / 世界の人口動態

01日本の人手不足と、アジアの若い力

日本が深刻な人口減少に直面する一方で、アジア各国では若い労働力が急増しています。この非対称性こそが、外国人材活用の最大の根拠です。

JP · 日本
68.6
年間出生数
2024年(過去最少・統計開始以来初の70万人割れ)

2030年には生産年齢人口が約400万人減少する見込み。介護・建設・物流など、人手不足は一段と深刻化します。

IN · インド
2,500
年間出生数
高い教育水準と英語力を持つ理工系人材が豊富

わずか数年で日本の総人口に匹敵する世代が生まれています。IT・エンジニアリング分野での供給源として世界的に注目されています。

ID · インドネシア
2.8
総人口(まもなく3億人へ)
人口ボーナス期・若年層が厚い

若い労働力が豊富で日本語教育も盛ん。ただし2045年には高齢化率20%に達する見込みで、人材獲得の時間的猶予は限られています。

年間出生数の比較(単位:万人)

日本
68.6
インドネシア
約465
インド
2,500

Source: 厚生労働省 人口動態統計(2024)/UN World Population Prospects

CHAPTER TWO / 外国人労働者の現状

0210年で約3.8倍。外国人労働者はいま、日本の基盤

2025年10月末時点、日本で働く外国人労働者は過去最高の約257万人。10年前の約68万人から約3.8倍に拡大し、就業者の約3.8%を占める時代になりました。

257万人
外国人労働者数(2025年10月末・過去最高)
前年比 +11.6% / 2007年の集計開始以来、連続で過去最多を更新

2013年の約72万人から、わずか12年で約3.6倍。製造業・サービス業・卸売小売・建設が中心だった構成も、いまや医療・福祉分野が年率20%以上で増加しています。人材戦略に外国人採用を組み込むことが、業種・規模を問わず競争力の前提条件になりつつあります。

外国人労働者数の推移 · 2013-2025
Source: 厚生労働省「外国人雇用状況」届出状況

’13
72
’15
91
’17
128
’19
166
’21
173
’23
205
’24
230
’25
257
34
外国人を雇用する事業所数
(2024年、過去最多)
24.8%
ベトナム人材の占める割合
(国籍別 第1位/約57万人)
49.4%
特定技能 前年比増加率
(2024年/約20万人到達)
6.73
1事業所あたりの平均採用数
「最初の一人」が分水嶺

CHAPTER THREE / ダイバーシティ経営

03“補充”ではなく”投資”。多様性が企業を強くする

人手不足への対応だけが外国人雇用の理由ではありません。多様な人材を活かすダイバーシティ経営は、企業の競争力そのものを底上げします。

01

新市場・新顧客の開拓

外国人材は母国語・文化・人脈を活かして、インバウンド顧客や海外取引先との橋渡し役を担います。インド人エンジニアが現地企業との商談をスムーズにした、ベトナム人スタッフが観光客対応で売上を伸ばしたという事例が多数あります。

02

採用窓口の拡大

日本人新卒の採用競争が激化する中、外国人留学生は有力な採用ターゲット。日本の大学・大学院を卒業した留学生は日本語力・文化理解も高く、即戦力として活躍しています。

03

組織の活性化

外国人材が加わることで、日本人社員が「当たり前」と思っていた慣習や業務フローを見直すきっかけになります。多様性を受け入れる組織風土は、日本人社員の離職率低下やエンゲージメント向上にも直結します。

04

海外展開・グローバル化の加速

外国人材の採用は、将来の海外進出に向けた布石。現地語・現地文化を理解した人材が社内にいることで、海外拠点の立ち上げや現地パートナーとの交渉が格段にスムーズになります。

外国人雇用は“コスト”ではなく”投資”。多様な人材が活躍できる環境を整えることが、企業の長期的な成長エンジンになります。

CHAPTER FOUR / 留学生という資源

04日本に33万人超、過去最多を更新した留学生

2024年5月時点、日本在籍の外国人留学生は33.6万人(前年比20.6%増)と過去最多。語学力・多様な視点・グローバルネットワークを持つ即戦力人材として注目されています。

33.6
外国人留学生在籍者数
2024.05.01 · 文部科学省 JASSO
MAIN ORIGINS
中国
12.3万
ネパール
6.5万
ベトナム
4.0万
ミャンマー
約2万
インドネシア
約1.8万

多様な価値観と経験

異国での生活を選んだ留学生は、文化的な適応力やチャレンジ精神に優れています。日本人が気づかない視点で業務改善を提案したり、外国人顧客との関係構築で力を発揮するケースが多くあります。

即戦力の語学力

母国語に加え英語・日本語など3カ国語以上を話せる人材が多く、JLPT N1・N2取得者はビジネス実務も問題なくこなせます。採用初日から貢献できる強みがあります。

現地マーケティング能力

母国語を活かした現地トレンド調査やSNS運用、EC市場調査を社内で実施でき、出張費をかけずに海外展開の可能性を探れます。

留学生採用のポイント
→ 大学・大学院卒業者は「技術・人文知識・国際業務」ビザへの切り替えがスムーズ
→ 卒業後は「特定活動(就職活動)」ビザで最大1年間の滞在が可能
→ 内定後は早めにビザ申請を開始(許可まで1〜3ヶ月程度)

CHAPTER FIVE / 国籍の多様化

05主役の交代。中国・韓国から、南アジア・アフリカへ

外国人材の出身地は大きく変化しています。過去の中心だった中韓から、東南アジア・南アジアへ。そして次の10年は、バングラデシュ・インド・アフリカ諸国が台頭する時代です。

PAST · 〜2010年代前半

中国・韓国が中心

中国
韓国

漢字文化圏で日本語習得が早く、ビジネス慣習も近い存在。しかし両国の経済成長により、日本への就労希望者は減少傾向にあります。

NOW · 2020年代

東南アジアが主役

ベトナム
ネパール
ミャンマー
インドネシア

ベトナムが外国人労働者数で圧倒的第1位(57万人)。ネパールはサービス業、ミャンマーは語順が日本語に近く製造業・介護で急増しています。

NEXT · 2030年代へ

南アジア・アフリカが台頭

バングラデシュ
インド
アフリカ諸国

バングラデシュは過去5年で急増し10万人規模に。インドはIT人材の供給源として急注目。アフリカ諸国も若い人口を背景に台頭しています。

国籍別の主な特徴
ベトナム:勤勉・向上心が高い。仏教文化圏
ネパール:日本語学習意欲が高く、サービス業に多い
ミャンマー:語順が日本語に近く、習得が早い
バングラデシュ:イスラム教徒が多く、ハラール対応が必要な場合あり
インド:英語力・ITスキルが高い
採用担当者へのアドバイス
国籍ごとの文化・宗教・価値観を事前に把握する
個別の配慮が定着率を高める
送り出し国の経済状況・日本語教育の普及度も参考に
新興国人材は伸びしろが大きく、長期育成に向いている

CHAPTER SIX / 採用のタイミング

06就職を望む留学生 54%。採用に至るのは38%

就職を希望する留学生は多いものの、機会を逃しているケースが多いのが実情です。企業側からの積極的なアプローチが、採用成功の鍵を握ります。

希望 vs 実績
54.4%
就職希望率
38.1%
実際の就職率
GAP — 16.3 pt

希望と現実のギャップ

留学生の過半数が日本での就職を希望するにもかかわらず、実際に就職できるのは3人に1人強。就活スタートの遅れ、ビザ変更期限への焦り、大手志向による中小企業との接点不足が主な要因です。

CRITICAL WINDOW

企業アプローチの勝負所 ── 10月〜12月

ビザ変更が間に合うこの3ヶ月が、留学生採用の最大の山場。日本語学校・大学キャリアセンターへの直接問い合わせ、SNS(WeChat・LINE・Instagram)での留学生コミュニティへのリーチが有効です。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
通常期
焦り始める時期
採用勝負所(ビザ変更可能期限)

CHAPTER SEVEN / 法的基礎知識

07外国人雇用は、厳密な”ジョブ型”雇用である

日本の伝統的な「とりあえず採用して後から配属を決める」メンバーシップ型雇用は、外国人材には適用できません。120種類以上の在留資格ごとに「できる仕事」と「できない仕事」が法律で厳密に規定されています。

Membership-type / 従来型

メンバーシップ型雇用

「会社に属する」前提で、配属や業務内容は柔軟に変えられる。日本人の新卒採用で広く採用されてきた方式。

— 業務内容は採用後に調整
— ジョブローテーションが前提
— 外国人雇用には適用不可
Job-type / 外国人雇用の大原則

ジョブ型雇用(在留資格ベース)

採用前に「どの業務を任せるか」を明確化する必要があります。事前の業務整理が採用の前提条件です。

— 在留資格ごとに業務範囲が法定
— ジョブディスクリプションが必須
— 範囲外の業務は違法
RISK · 不法就労助長罪

曖昧な理由での採用は、企業側も重い罪に問われる

「とにかく人が足りないから現場作業を手伝わせたい」といった曖昧な採用は、ミスマッチとトラブルの最大の原因。高度人材の資格で採用した外国人に単純な現場作業をさせると、企業側も「不法就労助長罪」という重い罪に問われる危険性があります。事前にジョブディスクリプション(職務内容記述書)を作成し、任せる業務のレイヤーを明確にすることで適切な在留資格を特定できます。

CHAPTER EIGHT / 代表的な在留資格①

08「技・人・国」── ホワイトカラー採用の定番

通称「技・人・国」(技術・人文知識・国際業務)は、外国人ホワイトカラー採用で最もよく使われる在留資格。大学・専門学校の専攻と職務内容の論理的なマッチングが、許可の最重要要件です。

技・人・国
VISA TYPE · 01

技術・人文知識・国際業務

Engineer / Specialist in Humanities / International Services

対象業務:設計・マーケティング・翻訳・通訳・企画営業・経理・ITエンジニアなど。
禁止業務:工場ライン作業・単純接客・配膳など、専門性を要しない現場作業は法律で禁止。

✓ 許可事例

工学部卒 × ゲーム開発

母国の工学部で学んだ知識を活かして、日本のゲーム開発部門でエンジニアとして働く。専攻と職務内容のマッチングが明確。

✓ 許可事例

国際関係学 × 空港業務

国際関係学の専攻を活かして、空港での外国航空会社との提携交渉業務に従事。語学力と専門知識が業務に直結。

✕ 不許可事例

教育学部卒 × 弁当箱詰め

教育学部を卒業した人材を、弁当工場での箱詰め作業(単純作業)に従事させる申請。専門性が合致せず不許可。

! 給与要件の絶対条件

外国人だから安く雇用できる、という考えは誤り

同じ業務を行う日本人と同等額以上の給与を支払うことが、すべての在留資格における絶対条件。また「とりあえず人手が欲しい」という申請は高確率で不許可となり、専門学校卒は専攻と業務の関連性がより厳しく審査されます。

CHAPTER NINE / 代表的な在留資格②

09「特定技能」── 現場を支える新しい基盤

2019年に創設された現場系業種向けの在留資格。製造・建設・介護など16分野での現場作業が認められ、2024年には前年比49.4%増の約20万人まで拡大しました。

1号特定技能1号

Entry Level · 試験合格/技能実習2号修了者
在留期間 最長 5年
家族帯同 不可
永住申請 不可
対象分野 16分野(製造・建設・介護ほか)
日本語要件 JLPT N4 相当以上
企業側義務 支援計画の策定

2号特定技能2号

Advanced Level · 熟練技能者 · 合格率 約30%
在留期間 更新 無制限
家族帯同 可能
永住申請 要件次第で可能
対象分野 全分野で拡大中
日本語要件 より高度な運用能力
企業側義務 試験対策・教育支援
16分野
受け入れ対象分野
(2024年以降 順次拡大)
約20万人
特定技能の在留者数
(2024年・前年比+49.4%)
82万人
2028年度末までの受入見込
(政府計画)

CHAPTER TEN / 制度の大転換

10技能実習 → 育成就労。2027年4月、制度の大転換

2024年6月に成立した改正法により、長年批判を受けてきた「技能実習制度」が廃止され、2027年4月1日に「育成就労制度」へ正式に移行します。制度の目的が「保護・管理」から「育成・定着」へと転換します。

PAST · 〜2027
技能実習制度
転職原則禁止
国際貢献が建前
2024
改正法成立
育成就労法
公布(6月)
2027.04
育成就労制度 施行
3年で特定技能1号
水準まで育成
1〜2年後
転職の自由化
語学・技能要件で
同一分野内の転籍可能
技能実習と育成就労の主な違い
目的 技能移転 → 特定技能1号への育成
転職 原則禁止 → 1〜2年後に同一分野内で可能
在留期間 最長5年 → 最長3年(その後特定技能へ)
日本語 入国時不要 → A1相当(N5)以上が必要
監督機関 監理団体 → 監理支援機関(新許可)
企業が備えるべきこと
▹ 転職されても困らない採用・育成の仕組みを構築
▹ 給与・待遇を競争力のある水準に引き上げる
▹ 日本語教育・技能試験のサポート体制を整える
▹ 育成就労から特定技能1号へのキャリアパスを明示
▹ 監理支援機関との連携体制を早期に見直す

CHAPTER ELEVEN / 採用オペレーション

11採用資料の工夫と、AI時代の面接

外国人求職者向けの資料は、読みやすさ・視覚的わかりやすさ・文化的配慮の3点を意識するだけで反応率が大きく変わります。同時に、ChatGPTなどの生成AI活用が一般化した今、面接の評価軸もアップデートが必要です。

ひらがな・分かち書き・写真多用の3つを実践するだけで、外国人求職者への訴求力は大きく変わります。まずは既存の採用資料の見直しから。

“外国人が活躍している職場”であることを視覚的に示すことが、最も強力な採用メッセージ。百の言葉より一枚の写真が雄弁に語ります。

非漢字圏への配慮

難しい漢字が多い資料は、東南アジア・南アジア出身者には読みづらい。「ひらがな」を積極的に使い、分かち書きを入れるだけで理解しやすくなります。

視覚情報の重視

文字を大きくし、外国人スタッフが実際に働いている写真を多用。休憩中や研修の場面も入れると、職場の雰囲気が伝わりやすくなります。

GENERATIVE AI ERA / 面接の新常識

AIが書いた文章を見破るより、「その人」を見極める

ChatGPTなどの生成AIで履歴書・志望動機を作成する応募者が急増。外国人求職者にとっては日本語の壁をAIが補ってくれるため、活用率は高い傾向にあります。重要なのは、AIを使っているかを判定することではなく、その人が本当に自社で活躍できるかを見極めること。

01
AI活用の一般化

ChatGPT・Geminiなどの活用は前提。特に日本語作成の壁を補う外国人求職者の活用率は高い。

02
AIの特徴を見抜く

不自然に整った構成、「3つにまとめる」「①②③で箇条書き」などは、AI特有の出力パターン。

03
新たな評価軸

カンペを活用しながら理路整然と話すことも、現代のITリテラシーとして柔軟に評価する視点。

04
面接で深掘り

「生の言葉」「具体的なエピソード」「なぜこの会社か」──AIでは準備しにくい価値観を見る。

CHAPTER TWELVE / 定着支援①

12宗教・文化への配慮は、「特別扱い」ではない

日本人がタバコ休憩やトイレに行くのと同じように、礼拝や食事制限への対応は、その人が安心して働くための「当たり前の環境整備」です。文化の違いを許容する組織風土が、外国人材の定着を支えます。

配慮は優遇ではなく、環境整備

「特別扱い」ではなく「当たり前の配慮」として捉える姿勢が、外国人材の長期定着を決定づけます。

礼拝スペースの提供

イスラム教の礼拝は就業時間中に1日最大2回(昼・午後)、各3〜5分程度で完了します。2畳ほどの清潔な小スペースと、メッカの方角(キブラ)を示す表示があれば十分です。

ハラール・食事への配慮

社員食堂や仕出し弁当がある場合は、豚肉・アルコールを含まないメニューの選択肢を。完全なハラール認証が難しくても、「豚肉不使用」「アルコール不使用」の表示だけで、食事選びの不安は大きく軽減されます。

ラマダン(断食月)への理解

イスラム教徒は年に1ヶ月、日の出から日没まで断食を行います。体力的負担への配慮に加え、「なぜ食べないのか」を周囲の日本人スタッフに事前に説明しておくことで、誤解を防ぎ、相互理解が深まります。

組織風土の醸成

管理職向けの多文化理解研修、受け入れ時の案内資料に礼拝・食事・休暇の基本ルールを記載するなど、小さな仕組み化だけでも現場の受け入れ姿勢は大きく変わります。

母国の祝日に合わせた休暇

中国の旧正月、ベトナムのテト、タイのソンクラン、インドのディワリなど、本人にとって最も大切な時期に長期休暇を取得できるよう調整。

春節
テト
ソンクラン
ディワリ

出張扱いでの帰国支援

母国での市場調査・取引先訪問を兼ねた「出張扱い」として、帰国費用を会社が負担。「会社が自分の母国を仕事に活かせる場所として認めてくれている」という心理的価値が大きい。

市場調査
現地視察

エンゲージメントの向上

給与水準が多少低くても、文化的配慮と柔軟な休暇制度がある職場を選ぶ外国人材は少なくありません。定着率の高い企業ほど「日々の小さな配慮」を大切にしています。

口コミ効果
紹介採用

CHAPTER THIRTEEN / 定着支援②

13離職の最大要因は給与ではなく、”孤立感”

「外国人だからすぐ辞める」は誤解です。日本人若手社員と同等か、むしろ離職率が低いと感じる経営者も多数。離職の最大要因は給与ではなく、職場の人間関係と孤立感、そしてビザ更新タイミングの迷いです。

Risk Factor

離職の正体は、孤立感

外国人だからすぐ辞めるというのは誤解。企業へのヒアリングでは、日本人の若手社員と同等か、むしろ離職率が低いと感じている経営者も多数。離職の最大要因は、給与ではなく職場の人間関係の悩みや孤立感です。

日本の「言わなくても察する」文化は、外国人には通じません。

Solution

メンター制度の必須化

特に1人目の採用時は、業務上の悩みや生活面の相談に親身に乗るメンター(世話役の先輩社員)を必ず配置し、孤立させないサポート体制の構築が定着の絶対条件。「最初の一人」が成功するかどうかで、その後の採用戦略の全てが決まります。

もう一つのリスクポイント ── ビザ更新のタイミング

外国人材が転職を考え始める最も多いタイミングは、在留資格(ビザ)の更新時。新しいビザが取れて数年のゆとりが生まれた瞬間に、「今の会社でいいのか」と考え始めます。特に「技・人・国」は3〜5年ごとに更新があり、この更新タイミングが最大のリスクポイントです。

01
更新前のキャリア面談

上司やメンターが必ず1対1の面談を。3年後・5年後のキャリアパス、昇給・昇格の見通しを示す。

02
期待の言語化

「今後もここで働き続けてほしい」「あなたに期待している」という明確なメッセージが、転職を思いとどまらせる最大の要因。

03
家族への気配り

母国の親の高齢化・病気・介護は、予期せぬ帰国の引き金に。緊急帰国時の特別休暇・費用補助を制度化しておく。

CHAPTER FOURTEEN / 実例

14人材補充を超えて、事業の転換点になった事例

外国人材の採用は、人手不足の解消にとどまりません。組織の活性化・技術継承・インバウンド対応・海外展開という「攻めの経営」に直結した、戦略的な外国人雇用の実例を紹介します。

CASE 01 · 高齢化対策

50代後半の組織に、若い風。技術継承の危機を乗り越えた事例

01
CHALLENGE · 課題

平均年齢が50代後半に達し、日本人の若手人材が数年間採用できない状態。ベテラン社員の定年退職が相次ぐ中、専門技術や現場ノウハウをどう次世代に引き継ぐかという技術継承の危機に直面。

SOLUTION · 取り組み

初めて外国人留学生(理工系大学院卒)を採用。入社から約1年後には一人で営業先を回れるまでに成長。若く明るい外国人材が加わったことで、「自分たちも教えなければ」という意識がベテラン社員に芽生え、組織全体のコミュニケーションが増えました。

CASE 02 · 割烹料理店

3カ国語対応で、海外予約が急増

コロナ禍明けのインバウンド急増に対応できる日本人接客スタッフの採用が困難な状況が続く中、英語・中国語・韓国語の3カ国語が堪能な留学生を採用。外国人観光客への接客はもちろん、SNS(Instagram・Google Maps)での多言語発信も担当させたところ、海外からの予約が急増しました。

CASE 03 · 建材メーカー

日本で育てた人材が、海外拠点の核に

国内市場の縮小を見据えインド市場進出を中長期戦略に掲げていたが、現地法人設立を担う人材確保が課題。日本の大学院でMBAを取得したインド人留学生を採用し、海外展開の中核人材として育成。その後、インド現地法人の立ち上げメンバーとして副社長に抜擢されました。

Closing · 外国人材と共に作る企業の未来

「補充」から「創造」へ。
外国人雇用は、新しい市場を共に生むパートナー選びである。

01

意識の転換

外国人雇用は単なる人手不足の補充ではなく、新たな市場や多様な価値を共に「創造」するための、強力なパートナー選びです。

02

仕組みづくり

ジョブディスクリプションによる職務内容の明確化と、メンター制度をはじめとする伴走型サポート体制の構築が、離職を防ぐ最重要の鍵です。

03

最初の一人を大切に

制度や文化の違いを理解し、まずは最初の一人を社内全体で大切に育て上げることが、成功のロールモデルとなり、持続的な成長へとつながります。

外国人雇用への対応力が、業種・規模を問わず企業の競争力を左右する時代。
「選択肢」ではなく「経営戦略の必須要素」として、最初の一歩を踏み出す時です。

本資料は堺市で開催された外国人雇用支援セミナーの講演内容をもとに、最新統計データを加えて再構成したものです。

Sources: 厚生労働省「外国人雇用状況の届出」(2026.01) / 厚生労働省 人口動態統計 (2024) / 文部科学省・JASSO 外国人留学生在籍状況調査 (2024) / 出入国在留管理庁 特定技能制度運用状況 / 育成就労法 (令和6年法律第60号, 2027年4月1日施行)

 

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