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変動する大気と気候変動

気候の成り立ちとその変動を科学的基礎から理解できるよう、以下の内容について学ぶ。
・地球の気候をコントロールするシステムの概要
・太陽・地球の放射と温室効果
・温室効果気体とその自然状態での収支
・温室効果気体の人為排出源とその変化
・温室効果気体の変化を予測する方程式
・短寿命気候影響物質とその影響
・気象の成り立ちとその気候変動による変調
・海洋の気候での役割と気候変動による変調
・雪氷圏の気候での役割と気候変動による変調
・地表・土地利用の気候での役割と気候変動による変調
・気候変動を予測・対応するための、大気変調をとらえる最先端研究

Content/学習内容

  • 地球の気候システムの概観

    • 極端事象
    • 気候変動の歴史
    • 気候システムの要素

    地球の気候とは何か、気候を決定・変化させる様々な要因について概観する

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    • 気候とは何か、気候変動とは何か

      気候の定義に基づき、気候の変動とはどのようにとらえらえるか理解する。また、極端事象(異常気象)と気候変動の関係を理解する

    • 過去と現在の気候変動の概観

      地球の歴史上の気候変動(古気候)と現在の気候変動を概観し、CO2変化との関係を考える

    • 地球の気候システムとその要素

      地球の気候システムを概観し、その各主要要素の役割を議論する

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 地表温度と放射過程

    • 地球放射
    • 放射の基本法則

    地表温度を決定する最重要プロセスである放射過程について解説する

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    • 太陽放射、地球放射と黒体放射

      この章では、放射とは何か、放射はどのように熱を伝えるのか,プランクの放射法則、太陽放射と地球放射について解説する。

    • 放射の基本法則

      本章では、放射の気温法則であるウィーンの変位則、シュテファン・ボルツマンの法則、熱放射のキルヒホッフの法則、太陽放射と地球放射のエネルギー、大気の吸収効率と放射率について解説する。

    • 地球の温度決定の枠組み:放射平衡

      本章では、太陽放射と大気中の吸収、地球放射と大気中の吸収、大気放射の放出、放射平衡方程式について解説する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 放射平衡による地表温度の決定

    • 地表面と雲のアルベド
    • 放射平衡

    地表温度を決定する放射平衡の枠組みと、その要素について解説する

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    • 太陽定数

      地球に到達する太陽放射エネルギー、太陽定数とその変動、地球に入射する全太陽放射エネルギーについて解説する。

    • 地球のアルベド

      様々な地表条件における地表アルベド、平均アルベドと雲による寄与、人間活動によるアルベド値の変化について解説する。

    • 温室効果がない場合の放射平衡

      大気が透明である場合(または大気が温室効果ガスを含まない場合)の地球の放射平衡、放射平衡方程式、放射平衡温度について解説する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 温室効果と地球の放射収支

    • 放射平衡モデル
    • 顕熱と潜熱
    • 地表の放射収支

    温室効果とそれによる気温上昇のメカニズムについて解説する

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    • 温室効果の1層大気モデル

      一層大気放射平衡モデル、一層大気モデルにおける放射平衡方程式、温室効果による放射平衡温度の上昇 について解説する。

    • 温室効果と他の気候プロセス

      温室効果はどのように地表面温度を上昇させるのか、温室効果はなぜ、どのように地表面温度を上昇させるのか、放射収支に影響を与える気候強制要因について解説する。

    • 地球の放射収支

      1層大気で無視されるプロセス、顕熱と潜熱、地球の放射と熱収支について解説する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 温室効果気体とその自然状態での循環

    • メタン
    • 一酸化二窒素
    • 炭素循環
    • 窒素循環

    主要な温室効果気体である二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素と、その自然状態での収支について解説する

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    • 二酸化炭素と炭素循環

      45億年の地球史における大気CO2の進化、遅い炭素循環と速い炭素循環、陸上植生および海洋と大気の間の速い炭素循環について解説する。

    • メタンと一酸化二窒素の自然循環

      天然の温室効果ガスであるCH4とN2O、およびそれらの放射強制力と地球温暖化ポテンシャル、80万年の地球史におけるそれらの進化、陸上生物圏と大気圏の間のCH4とN2Oの自然循環について解説する。

    • CO2,CH4およびN2Oの自然循環の気候変化への応答

      気温変化に対するCO2、CH4、N2Oの急激な反応とCO2、CH4、N2Oの自然循環の応答によるフィードバックについて議論する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 温室効果気体の増加と人為排出源

    • メタン
    • 一酸化二窒素
    • 人為排出源
    • インベントリー

    主要な温室効果気体である二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の大気濃度増加とそれらの人為源について解説する

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    • 二酸化炭素の大気濃度増加と人為排出源

      1850年から現在までのCO2、CH4、N2Oの増加、1850年以降の人為起源のCO2発生源とその変化、化石燃料の利用について議論する。

    • メタンの大気濃度増加と主要な人為排出源

      1990年以降のCH4の増加とその季節的・緯度的変動、人為起源のCH4発生源とその寄与について解説する。

    • 一酸化二窒素および人工温室効果気体の大気濃度増加と人為排出源

      1850年からのN2Oの増加とその人為起源、気候変動におけるCO2、CH4、N2Oの生物地球化学的フィードバック、人為的温室効果ガスについて解説する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 温室効果ガス増加の量的評価

    • 吸収
    • 連続方程式

    気候モデルにおいて、温室効果気体の変化を予測するための方程式と必要なデータについて解説する

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    • 連続方程式

      連続方程式、連続方程式の各項、簡単なケースでの連続方程式の解について解説する。

    • 温室効果ガス増加の評価

      連続方程式の簡略化=マスバランス方程式、マスバランス方程式を用いた温室効果ガス増加率の推定、観測された増加率との比較について議論する。

    • 温室効果ガス及び関連ガスのインベントリ

      温室効果気体インベントリとは何か、排出係数の評価方法、活動データの評価方法について解説する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 短寿命気候影響物質とその影響

    • 対流圏オゾン
    • 黒色炭素エアロゾル
    • メタン

    短寿命気候影響物質(SLCF)とは何か、なぜ重要か、その主な発生源について解説する

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    • 短寿命気候影響物質(SLCF)とは何か、なぜ重要なのか

      短寿命気候影響物質(SLCF)と短寿命気候汚染物質(SLCP)、直接・間接SLCFの放射強制力、なぜSLCFの削減が気候変動の緩和に不可欠なのかについて解説する。

    • 対流圏オゾンおよびその前駆気体

      対流圏オゾンとその生成過程、オゾン前駆体ガス(間接的SLCFs)、対流圏オゾン増加の気候への影響について解説する。

    • 黒色炭素および他のエアロゾルの気候影響

      様々なエアロゾル、エアロゾルの気候への直接および(雲の形成を通じての)間接効果、黒色炭素エアロゾルの気候への影響を解説する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 気象の成り立ち

    • 偏西風と貿易風
    • アジアモンスーン

    中緯度から熱帯(アジア)での気象がどのように成立しているか解説する

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    • 大気大循環と偏西風、貿易風

      熱帯から中緯度の大気大循環の特徴を、南北熱輸送の観点から解説する。中緯度では南北温度傾度に起因する偏西風の特徴を大まかに説明する。

    • 中緯度域と熱帯域の気象・気候とモンスーン、エルニーニョ

      中緯度の気象・気候について、偏西風の蛇行と高低気圧の移動の関係、モンスーン、気候区分について解説する。また、熱帯域では、エルニーニョやラニーニャなどのENSOについて簡単に解説する。

    • アジアの気象・気候

      日本を含む東アジアから南アジアの気象や気候の特徴を、モンスーンやENSOと関連付けて解説する。

    Lecturers

    /講師

    • 若月泰孝

      茨城大学 基礎自然科学野 准教授

  • 気象の気候変動による変調

    • 東~東南アジア
    • 気温
    • 降水量

    世界各地及び東~東南アジアでの気象状況の気候変動による変化を解説する

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    • 気温分布の気候変動

      IPCCの報告書をもとに、過去の全球気温の変化とその将来予測について解説する。また、全球気温分布の変化の特徴を、その仕組みと合わせて簡単に紹介する。

    • 降水量分布の気候変動

      IPCCの報告書をもとに、過去の全球降水量と土壌水分量などの変化とそれらの将来予測について解説する。また、降水が極端化していく仕組みも簡単に紹介する。

    • 東・東南アジアでの気象状況の変化

      日本の気候変動2020をもとに、日本の気象・気候の過去の変化と将来変化予測について解説する。特に、極端高温、極端降水、熱帯低気圧などの比較的明確な予測項目を紹介する。

    Lecturers

    /講師

    • 若月泰孝

      茨城大学 基礎自然科学野 准教授

  • 海洋の気候での役割と気候変動による変調

    • 海面上昇
    • 酸性化

    海洋の気候変動における役割と現在みられる気候変動に伴う変化を解説する。

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    • 気候変動下での海洋循環

      全球の海洋循環(海流と熱塩循環)の特徴について、南北熱輸送の観点から解説する。また、IPCCの報告書をもとに、海洋循環の変化予測についても触れる。

    • 海水温上昇と海面上昇

      IPCC報告書などに基づき、海水温の過去の変化と将来予測、海面水位の過去の変化と将来予測について解説する。

    • 海水の酸性化、海洋生態系を通じた影響

      IPCCの報告書などをもとに、海洋酸性化について解説する。また、海水温上昇と酸性化がもたらす生態系の変化についても触れる。

    Lecturers

    /講師

    • 若月泰孝

      茨城大学 基礎自然科学野 准教授

  • 雪氷圏の気候での役割と気候変動による変調

    • 雪のアルベド
    • 北極海氷
    • 永久凍土

    雪氷圏における気候変動の影響とアルベドの変化、雪解け水の増加減少による影響を解説する

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    • 雪氷圏の気候変動における役割

      雪氷圏とその構成要素、地球システムと気候における雪氷圏の役割、気候変動に対する雪氷圏の反応によるリスクについて解説する。

    • 気候変動による山岳氷河と永久凍土の変化

      山岳雪氷圏(積雪と氷河)の変化、永久凍土の変化、山岳雪氷圏と永久凍土の変化の影響について述べる。

    • 気候変動による氷床や北極海氷の変化

      北極と南極の海氷の変化、グリーンランドと南極の氷床の変化、海氷と氷床の減少の影響について述べる。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 地表・土地利用の気候での役割と気候変動による変調

    • 土地利用変化
    • アルベド
    • 土地劣化と砂漠化
    • バイオマス燃焼

    地表状態及び土地利用の気候における役割と気候変動の影響、森林火災増加とその影響を解説する

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    • 地表状態及び土地利用の気候における役割

      陸地と大気間のCO2、CH4、N2OおよびSLCFの交換、蒸発散とアルベドの気候への影響、気候変動に対する陸地の反応について解説する。

    • 土地利用変化による気候影響、気候変動による土壌状態変化

      世界的な土地被覆の変化が気候変動に与える影響、土地の劣化と気候変動の相互作用、砂漠化と気候変動のフィードバックについて解説する。

    • バイオマス燃焼(森林、サバンナ火災)の気候変動とその影響

      バイオマス燃焼が気候変動に与える影響、バイオマス燃焼への気候による影響、各地域におけるバイオマス燃焼の変化について議論する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 気候研究のためのGHGおよびSLCPの観測

    • 温室効果ガス
    • SLCP
    • リモートセンシング

    気候変動を予測・対応するための、大気変調をとらえる最先端の観測による研究の例について解説する

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    • 温室効果気体のモニタリング、SLCP濃度変化の測定

      GAWによる温室効果ガスとその関連種のモニタリング、過去の大気中の温室効果ガスを測定するための氷床コアサンプリング、東南アジアにおけるSLCPの航空機および地上観測について紹介する。

    • 温室効果気体放出フラックスの測定

      コンテナ法による温室効果ガスフラックスの測定方法、渦相関法の測定原理、全球フラックス観測網(FLUXNET)について紹介する。

    • 温室効果気体のリモートセンシングとトップダウンによるその収支

      温室効果ガス収支を把握するためのトップダウンアプローチ、GOSAT(-2)によるCO2とCH4のリモートセンシング、新しい衛星ミッション、GOSAT-GWとNO2測定について紹介する。

    Lecturers

    /講師

    • 北和之

      茨城大学 基礎自然科学野 教授

  • 大気と気候変動研究の最前線(モデル編)

    • ダウンスケーリング
    • アンサンブルモデリング

    気候モデルとは何か、気候変動による気温、降水量変化やその影響について、どのような研究が行われているか解説する

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    • 気候モデルとは何か

      将来環境を予測する数値シミュレーションで用いられる気候モデルについて、その仕組みと考え方を概略的に紹介する。

    • 気候モデルで推定された将来の気候

      気候モデルによる数値シミュレーションで前提となる将来の温室効果ガスのシナリオについて解説する。また、温暖化が人為起源の温室効果ガス排出によることが示された計算結果を紹介する。IPCCによる将来予測の例も紹介する。

    • 気候モデルのダウンスケーリングによる領域気候予測

      気候変化予測を領域を限定して高解像度化するダウンスケーリングの仕組みと、それを用いた日本域での領域気候変化予測の一例を紹介する。

    Lecturers

    /講師

    • 若月泰孝

      茨城大学 基礎自然科学野 准教授

Staff/スタッフ

    北和之
    茨城大学 基礎自然科学野
    教授
    経歴

    2010年-現在 茨城大学理学部教授
    2018年 – 現在 日越大学(VNU Vietnam Japan University)大学院気候変動・開発プログラム日本側ダイレクター
    2002年-2010年 茨城大学理学部助教授

    若月泰孝
    茨城大学 基礎自然科学野
    准教授
    経歴

    2016年-現在 茨城大学理学部准教授.
    2018年 – 現在 日越大学(VNU Vietnam Japan University)大学院気候変動・開発プログラム客員講師
    2012年-2016年 筑波大学生命環境系.
    2007年-2012年 (独) 海洋研究開発機構.
    2002年-2007年 (財) 地球科学技術総合推進機構

Competency/コンピテンシー

科目の目標

・大気科学に関する知識を身につける
・気候の成り立ちを理解する
・気候変動とその予測と対応に向けて、科学的基礎に基づき考える態度を喚起する

履修者の到達目標

以下の目標についてテストを行いルーブリックで評価する
・気候プロセスの科学的基礎を理解する。
・温室効果気体や短寿命気候影響物質(SLCF)の変動プロセスについて理解し、緩和策に生かすことができる。
・現在起こっている様々な気候変動について、その背後にあるプロセスを理解することができる。

Information/その他の情報

教材・参考文献

IPCC (2021)Climate Change 2021: The Physical Science Basis, Contribution of Working Group I to the Sixth Assessment Report of the IPCC.
Andreas Schmittner(2017), Introduction to Climate Science – 1st Edition, Oregon State University

Contact/お問合せ先

tenkai@m.ibaraki.ac.jp

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