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気候変動の適応戦略
- 気候変動影響
- 気候レジリエントな開発
- SDGs
気候変動適応は、気候変動緩和と並ぶ気候変動対応策である。農業、災害等の各分野における気候変動の影響予測とそれに基づく適応策について講義を行う。
茨城大学は、ASEAN諸国の地域に根ざした気候変動研究、教育に大きな特徴がある。2018年の気候変動適応法施行に伴い、茨城大学は全国でも珍しく茨城県地域気候変動適応センターを大学に設置した。これにより、地域のステークホルダーとの地域での適応推進を実践している。さらに、ベトナムにある日越大学大学院「気候変動・開発プログラム」にも2018年から教育、研究支援を行っている。フィールド調査映像なども含めて実践事例を豊富に紹介しながら、地域の実情に応じた気候変動適応のあり方を論じる。
Content/学習内容
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気候変動への適応戦略
- 適応策
- 緩和策
- IPCC
気候変動影響と適応策を概説する。
Videos
/学習動画
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気候変動の影響と適応策1
気候変動の適応策と緩和策を概観する。
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排出経路
気温、降雨など気候変動の将来予測を紹介する。
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気候変動の影響と適応策2
気候変動に伴う海面上昇、その他気候リスク(RFCs)を概観する。
Lecturers
/講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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気候変動のリスクとシステムの相互作用
- ハザード
- 脆弱性
気候変動のリスクを構成するハザード、曝露、脆弱性といった気候変動の相互作用を論じる。
Videos
/学習動画
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自然生態系への気候変動影響
自然生態系への気候変動影響とその適応策を論じる。
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災害の気候変動影響
自然生態系への気候変動影響とその適応策を論じる。
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気候リスクとシステムの相互作用
気候リスクと各システムへの相互作用を概説する。
Lecturers
/講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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自然災害と適応策
- 複合リスク
- 階層的リスク
- 海面上昇
- レジリエンス
気候変動に伴う自然災害と適応策を概説する。
Videos
/学習動画
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自然災害と適応策1
気候変動における複合リスクと階層的リスクを紹介する。
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気候変動影響と沿岸域
海面上昇や海岸侵食などの沿岸域における気候変動影響を紹介する。
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沿岸域における気候変動影響と適応策
沿岸域における気候変動影響と適応策の研究事例を紹介する。
Lecturers
/講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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気候変動・海面上昇の海岸侵食問題とその対策への影響
- 沿岸漂砂
- 海岸侵食
- 海面上昇
- 環礁州島
海岸地形変化および海岸侵食問題,そして海岸侵食対策について理解する.さらに,それらに気候変動・海面上昇がどのように関わるのか理解する.
Videos
/学習動画
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海岸地形変化と海岸侵食のメカニズム
海岸地形変化および海岸侵食のメカニズムを説明する.気候変動特に海面上昇が海岸侵食に及ぼす影響を説明する.
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環礁州島における海岸侵食
環礁という特徴的な海岸における海岸侵食問題と海面上昇による影響を説明する.
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海岸侵食問題への対応策
海岸侵食問題への対応策とそれらに及ぼす気候変動の影響を説明する.
Lecturers
/講師
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横木裕宗
茨城大学 応用理工学野 都市システム工学領域 教授
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海面上昇
- 浸水影響評価
- 経済評価
- 適応経路
海面上のメカニズム、影響、適応策について自分たちの研究を中心に議論する。
Videos
/学習動画
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海面水位の変化
海面水位の変化の動向、その要因と将来予測を論じる。
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海面上昇の全球影響
海面上昇に伴う浸水影響評価の研究事例を紹介する。
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海面上昇に対する適応策
海面上昇への適応策の研究事例を紹介し、その適応経路を議論する。
Lecturers
/講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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横木裕宗
茨城大学 応用理工学野 都市システム工学領域 教授
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作物栽培における影響と適応
- 作物生産システム
- 持続可能農業
気候変動が世界の食料システムに与える影響と適応策について学ぶ。作物生産性、水資源管理、土壌劣化などの課題に対する地域別の持続可能な農業生産方法を探求し、レジリエントな農業システムの構築に向けた適応戦略を理解する。
Videos
/学習動画
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気候変動と世界の食料生産システム
気候変動が食料システムに及ぼす影響は複雑かつ広範である。本講義では、地域で異なる生産性向上の課題や持続可能な生産方法の確立など気候食料安全保障について学ぶ。
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作物生産性への影響
世界の主要作物の収量変動予測、水資源管理、土壌劣化などの課題を踏まえ、農業生産性の維持に向けた適応戦略について学ぶ。
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影響から適応へ
気候変動が作物生産に及ぼす影響を生理学的・技術的視点から理解し、レジリエントな農業システムの構築に向けた適応策を探る。
Lecturers
/講師
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小寺昭彦
茨城大学 応用生物学野 地域総合農学領域 講師
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洪水とコメ生産
- 水稲冠水耐性
- 農業被害評価
世界の洪水の種類と特徴について概観し、特に東南アジアの季節性洪水に焦点を当て、洪水の実態を理解するとともに、作物学的視点からイネの冠水被害のメカニズムを学ぶ。チャオプラヤ川流域やメコン川流域の事例を通じて、洪水がコメ生産に与える影響や脆弱性および適応策を考察する。
Videos
/学習動画
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洪水について
世界の洪水の様々なタイプの概要を紹介する。特に次の講義で取り扱う東南アジア地域の季節洪水について衛星画像や動画を用いて詳細に解説する。
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イネの冠水影響について
イネの冠水影響について栽培学的視点から理解する。
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コメ生産の洪水被害について
季節洪水によるコメ生産への直接的被害についてチャオプラヤ川流域とメコン川流域を事例に探究する。
Lecturers
/講師
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小寺昭彦
茨城大学 応用生物学野 地域総合農学領域 講師
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ソフトな適応とハードな適応:メコン川デルタの稲作地帯の事例
- 農業開発
- 作付暦
本講義では、メコンデルタ地域の農業を事例に、自然環境への適応戦略としてのソフトアダプテーション(共生型)とハードアダプテーション(克服型)について解説する。両者の特徴や関係性を理解し、気候変動と社会変動下における持続可能な農業開発のあり方を考察する。
Videos
/学習動画
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はじめに
農業環境適応技術の基本概念であるソフトアダプテーションとハードアダプテーションについて解説する。それぞれの特徴、利点、課題を理解し、メコンデルタ地域における適用事例を紹介する
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”洪水と生きる”適応戦略
メコンデルタにおける伝統的な洪水との共生戦略を、ソフトアダプテーションの典型例として考察する。季節的な氾濫を活用した農業システムの特徴と持続可能性を学ぶ。
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適応戦略の変容
近年のメコンデルタにおける適応戦略の変容を分析する。気候変動や社会経済の変化に伴い、ソフトからハードアダプテーションへと移行する背景と影響を考察する。
Lecturers
/講師
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小寺昭彦
茨城大学 応用生物学野 地域総合農学領域 講師
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適応行動
- 農業適応戦略
- 伝統的環境知
- 作付暦
環境変動に対する適応行動について地域神話や伝承に見る環境適応の知恵、アジアの稲作暦に見る適応管理、そしてメコンデルタの事例分析を通じて考察する。伝統知と現代の課題を結びつけながら、人の環境適応メカニズムについて理解を深める。
Videos
/学習動画
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地域伝承と適応行動
地域に伝わる神話や伝説が、環境変化への適応戦略を伝承する知識体系として機能してきた実態を学ぶ。ベトナムの洪水伝説やメコン川の神話を事例に、伝統知の現代的意義を考察する。
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農業作付暦に見る適応管理1
アジアの多様な稲作暦を題材に、農民の環境適応の知恵を学ぶ。気候変動、洪水、干ばつなど様々な環境リスクに対し、生産性の最大化とリスク最小化を両立させてきた適応戦略を解明する。
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農業作付暦に見る適応管理2
メコンデルタ地域の稲作パターンを事例に、Safe Margin for Cropping(SMC)の概念を用いた適応管理の実践を学ぶ。地域による適応戦略の違いとその要因を分析し、将来の農業計画を考察する。
Lecturers
/講師
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小寺昭彦
茨城大学 応用生物学野 地域総合農学領域 講師
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社会生態系における適応策: スアントゥイ国立公園の事例
- コミュニティレジリエンス
- 持続可能な生計
ベトナム北部のスアントゥイ国立公園を事例に、社会生態システムにおける気候変動適応を学ぶ。マングローブ生態系の保全と地域コミュニティの持続可能な生計維持の両立について、多層的な適応戦略を通じて理解を深める。
Videos
/学習動画
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事例地の概要と土地利用変化
スアントゥイ国立公園の地理的・生態的特徴を概観し、気候変動が保護地域に与える影響を考察する。マングローブ生態系における人間活動と環境保全の関係性について理解を深める。
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気候適応と生活
地域コミュニティの主要な経済活動である漁業と農業に着目し、自然資源の持続可能な利用について学ぶ。生態系サービスと地域の生計維持の両立に向けた課題を検討する。
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生態系保全とコミュニティ開発の両立
気候変動への適応戦略を、世帯・地方行政・国立公園の3つのレベルで分析し、各層における取り組みの連携と、包括的なレジリエンス強化の方策について考察する。
Lecturers
/講師
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小寺昭彦
茨城大学 応用生物学野 地域総合農学領域 講師
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健康・暑熱分野の気候変動影響と適応策
- 感染症
- 適応策
熱中症、感染症などの健康・暑熱分野における気候変動影響と適応策を論じる
Videos
/学習動画
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日本における熱中症の現状と将来のシナリオ
気候変動下における熱中症の現状と将来について解説する。
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日本の適応戦略
日本における気候変動適応策の現状について解説する。
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国立環境研究所における適応活動と研究
国立環境研究所で実施されている熱中症に関する適応策の活動や研究について解説する。
Lecturers
/講師
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岡和孝
国立研究開発法人国立環境研究所 気候変動適応センター 室長
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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日本の気候変動適応計画
- 適応計画
- 気候変動適応センター
- 気候変動適応情報プラットフォーム
日本の気候変動影響、適応計画の策定状況とその実践を論じる。
Videos
/学習動画
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日本の気候変動適応計画 1
日本の気候変動とその影響、適応研究の進捗を紹介する。
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日本の気候変動適応計画2
気候変動適応計画法、気候変動適応計画、地域気候変動適応計画を概説する。
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日本の気候変動適応計画3
気候変動適応の二つのアプローチの観点から、気候変動適応センター、A-PLATの取組を紹介する。
Lecturers
/講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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地方自治体における気候変動適応計画
- 環境基本計画
- 地球温暖化防止実行計画
- 地域気候変動適応計画
茨城県や茨城県地域気候変動適応センターを主な事例に地域の実情に応じた気候変動とその適応策について概説する
Videos
/学習動画
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地方自治体における気候変動適応計画 1
茨城県の環境基本計画、地球温暖化防止実行計画、適応計画の現状を紹介する。
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地方自治体における気候変動適応計画2
茨城県の農業に関する気候変動影響と適応策の研究事例を紹介する。
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地方自治体における気候変動適応計画3
茨城県の災害、健康・暑熱分野に関する気候変動影響と適応策の実践事例を紹介する。
Lecturers
/講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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茨城県における気候変動適応
- 地域気候変動影響
- 地域気候変動適応
- 災害リスクマネジメント
茨城県や大子町を事例に地域の実情に応じた気候変動とその適応策について概説する
Videos
/学習動画
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茨城県の災害分野における適応策
2015年関東東北豪雨、2019年台風19号などの過去の教訓に基づき、災害分野における適応策を論じる。
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地域特産物の適応: 奥久慈リンゴの事例
地域独特の気候変動影響や適応について、茨城県大子町の特産物である「奥久慈リンゴ」の生産現場の具体的事例を通して学ぶ。
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地域特産物の適応:大子漆の事例
地域独特の気候変動影響や適応の取り組みについて、茨城県大子町の特産物である「大子漆」生産現場の具体的事例を通して学ぶ。
Lecturers
/講師
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小寺昭彦
茨城大学 応用生物学野 地域総合農学領域 講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
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気候にレジリエントな開発(CRD)に向けて
- 悪適応
- 生物多様性
- サステイナビリティ
- 気候にレジリエントな開発
気候にレジリエントな開発(CRD)に向けた気候変動適応と緩和、生物多様性、そして持続可能な開発の接合を論じる。
Videos
/学習動画
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効果的な適応のための促進要件
悪適応の事例も踏まえながら効果的な適応のための促進要件を浮き彫りする。
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緩和と適応の相乗効果
生態系を活用した気候変動適応策(EbA)や自然を活用した解決策(NbS)の事例から適応策と緩和策の相乗効果を論じる。
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気候変動対応とサステイナビリティ
気候変動対応(適応策と緩和策)と生物多様性、サステイナビリティの相互作用を紹介し、それらの統合の重要性を論じる。
Lecturers
/講師
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田村誠
茨城大学 地球・地域環境共創機構 教授
Staff/スタッフ
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田村誠茨城大学 地球・地域環境共創機構教授経歴
2024年 – 現在 茨城大学, 地球・地域環境共創機構教授/副機構長
2022年- 現在 茨城県地域気候変動適応センター, 副センター長
2022年- 2024年 茨城大学地球・地域環境共創機構教授
2018年 – 現在 日越大学(VNU Vietnam Japan University)大学院気候変動・開発プログラム客員講師 -
横木裕宗茨城大学 応用理工学野 都市システム工学領域教授経歴
2013年- 現在 茨城大学工学部副学部長
2018年 – 現在 日越大学(VNU Vietnam Japan University)大学院気候変動・開発プログラム客員講師
2011年- 現在 茨城大学工学部都市システム工学科教授
2010年 – 2011年 茨城大学工学部都市システム工学科准教授 -
小寺昭彦茨城大学 応用生物学野 地域総合農学領域講師経歴
2021年- 現在 茨城大学地球・地域環境共創機構(GLEC)講師
2021年- 現在 日越大学気候変動・開発プログラム客員講師
2017年 – 2021年 日越大学気候変動・開発プログラムJICA長期派遣専門家
2017年 – 2017年 茨城大学地球変動適応科学研究機関(ICAS)学術振興研究員 -
岡和孝国立研究開発法人国立環境研究所 気候変動適応センター室長経歴
2024年- 現在 国立環境研究所気候変動適応センター気候変動影響観測研究室室長
2018年 – 2024年 国立環境研究所気候変動適応センター気候変動適応戦略研究室主幹研究員
2018年 国立環境研究所社会環境システムセンター地球環境研究室主任研究員
Competency/コンピテンシー
科目の目標
・気候変動適応に関する知識を身につける
・気候変動適応に向けた課題分析能力を養う
・気候変動適応の推進に向けた意欲、態度を喚起する
履修者の到達目標
小テスト、レポートを通じてルーブリックで評価する。
・気候変動適応に関する知識
・気候変動適応に向けた課題分析能力
・気候変動適応の推進に向けた意欲、態度
Information/その他の情報
教材・参考文献
IPCC (2022) Climate Change 2022: Impacts, Adaptation and Vulnerability, Contribution of Working Group II to the Sixth Assessment Report of the IPCC.
Ito,T., M.Tamura, A.Kotera, Y.Ishikawa-Ishiwata (eds.) (2022)Interlocal Adaptations to Climate Change in East and Southeast Asia: Sharing Lessons of Agriculture, Disaster Risk Reduction, and Resource Management, Springer.
Contact/お問合せ先
tenkai@m.ibaraki.ac.jp