
原爆投下から80年を迎え、広島と長崎の被爆者が高齢化する今、被爆の記憶の伝承が叫ばれている。
実戦での核兵器使用は、この2都市に限られるが、20世紀の冷戦期には、核保有国は実に2000回以上の核実験を行っている。核兵器の地上・地下実験、製造過程での事故等、核廃棄物などによって、実は放射線被害を受けている人(いわゆる“グローバル・ヒバクシャ(Global Hibakusha)”)が多数いることが、広島市立大学のロバート・ジェイコブズ名誉教授の研究で明らかになっている。彼らグローバル・ヒバクシャは、核保有国による絶え間ない核兵器の近代化によって生み出された存在である。
核兵器の製造を可能にするため、米ソなどは、その原料となるウラン鉱石を世界各国に求めていった。巨大な核保有国・アメリカは、第二次大戦以降、アフリカにもウランを求めたが、その裏にはウランを扱う謎の商人の存在もあった。
核兵器を維持、増強するために世界各地で何が行われていたのか。そして、核兵器製造に関連する作業の中で放射線被害を受けたグローバル・ヒバクシャはいかなる経験をし、何を訴えてきたのか。広島、長崎だけではない世界的な視点で、核兵器を取り巻く国際状況と今日的な課題を考察していく。





-300x169.png)
