分野 | 人文・社会科学

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ヒロシマ被爆の実相 惨禍でのジャーナリストとアメリカ ~マルセル・ジュノー(1904-1961)~

人類史上初めて実戦で原子爆弾が投下された広島と長崎。しかし、被爆による死者数や被害の実態は、日本がアメリカ占領下となる1945年9月以降、日本で報道することが禁止された。占領政策に支障をきたすとの理由からだ。こうした中で、世界にいち早く発信したのがアメリカ人など欧米からのジャーナリスだった。占領軍の許可を得て現地に入った彼らは、その惨状を目にし、当局の反発を覚悟で実態を伝えていく。
従軍記者だったジョン・ハーシーは、1946年8月に「The New Yorker」誌で被害実態を初めて伝えた。アメリカ社会に衝撃が走り、「原爆投下でアメリカ兵100万人の命が救われた」という米政府の公式見解が作られていく。原爆被害の実相を伝えることはまた、ジャーナリズムの役割、体制側とメディア側との葛藤、個々人の良心とは何かを考えるケースとなる。
このプログラムは、被爆の発信に関して、日本の公共放送NHKの国際放送部門であるNHK WORLD-JAPANの番組映像を見ていき、ジャーナリズムの役割、米政府などの体制側の対応の虚実、個人の良心などの問題への理解を立体的に習得していく。

Content/学習内容

  • スイス人医師ジュノーは、第二次大戦末期、赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表としてシベリア経由で日本に向かう。その途中、旧満州の日本軍捕虜収容所で米軍将校ウェンライト中将と接見。戦後、このつながりが生きた。GHQ最高司令官マッカーサーから人道的物資を得たのである。
    被爆1か月後の9月8日、米軍医薬品15トンを携えた米軍機6機で広島に入る。1万人の傷病者の1か月分相当の医薬品を広島市民に届けるという考えられない事が起きた。しかし、ジュノーは長崎入りはできていない。ICRC副総裁となるジュノーは57歳という若さで亡くなるまで「人類は核兵器を使用して破滅するか、核兵器を廃絶するかの選択である」と訴え続けた。
    政治的中立を掲げるICRCが、どのような論理で核廃絶を訴えたか。ジュノーの例から世界で支援活動を行う団体の論理を学ぶことができる。

  • Designated TV Programs: NHK WORLD-JAPAN  Anime "Junod"

Staff/スタッフ

    • 講師
    ジャン=フランソワ・ベルジェ
    歴史家
    • コンテンツ制作
    髙井 孝彰
    国立大学法人筑波大学 広報局
    次長

Specal Thanks:
International Committee of the Red Cross
International Committee of the Red Cross Delegation in Japan
International Red Cross and Red Crescent Museum
Vaskange
Roland Sidler|WTN
Benoit Junod|Shinko Matsunaga
Hiroshima Peace Memorial Museum|Hironobu Ochiba
Hiroshima Red Cross Hospital & Atomic-bomb Survivors Hospital
Hiroshima City
The U.S. National Archives and Records Administration
MacArthur Memorial|Jim Zobel
Antoine Bosson|Romain Guelat
Yoshiaki Yoshizawa|Kumiko Ogoshi-Takai

Competency/コンピテンシー

  • 想像力
  • 状況把握力

専門コンピテンシー

  • ジャーナリズム論
  • 歴史的事象に対する個人の良心

達成目標

  • 被爆の世界発信の実相を体系的に理解することができる。
  • アメリカ政府の原爆投下の正当化はどう形成されたのか理解できる。
  • 日本人以外の原爆犠牲者について理解し、被害と加害」の両側面への考察を行うことができる。
  • 原爆の惨禍に、ジャーナリズムはどう役割を果たしたか、理解することができる。
  • 個人の良心は、政治体制下でどう立ち向かえるか、事例的に理解できる。
  • 怒りと憎しみという戦争がもたらす敵と味方の感情にジャーナリズムがどう役割を果たすか理解できる。

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