
Taiwan Fiction and Postwar Urban Experience
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大谷光瑞の「大谷探検隊」は、西欧世界の内陸探検と重なるようなシルクロード探検だけに限定できるものではなく、アジアの仏教の歴史的総体を日本の仏教との繋がりの中でみようとする宗教者としての独自の行動だったことがわかる。そしてそこには、大乗仏教の至極とまでみなす浄土真宗の基底を守ろうとする光瑞のリビドーがみえるのである。光瑞は漢訳大乗仏典の原典の可能性があるチベット大蔵経を求め、アジア各域の仏教のあらゆる痕跡を探し出そうとしたのである。それはアジア世界の歴史的アイデンティティが仏教にあることを明かそうとしたものともいえよう。