分野 | 人文・社会科学

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ヒロシマ被爆の実相 惨禍でのジャーナリストとアメリカ ~フロイド・シュモー(1895-2001)~

人類史上初めて実戦で原子爆弾が投下された広島と長崎。しかし、被爆による死者数や被害の実態は、日本がアメリカ占領下となる1945年9月以降、日本で報道することが禁止された。占領政策に支障をきたすとの理由からだ。こうした中で、世界にいち早く発信したのがアメリカ人など欧米からのジャーナリスだった。占領軍の許可を得て現地に入った彼らは、その惨状を目にし、当局の反発を覚悟で実態を伝えていく。
従軍記者だったジョン・ハーシーは、1946年8月に「The New Yorker」誌で被害実態を初めて伝えた。アメリカ社会に衝撃が走り、「原爆投下でアメリカ兵100万人の命が救われた」という米政府の公式見解が作られていく。原爆被害の実相を伝えることはまた、ジャーナリズムの役割、体制側とメディア側との葛藤、個々人の良心とは何かを考えるケースとなる。
このプログラムは、被爆の発信に関して、日本の公共放送NHKの国際放送部門であるNHK WORLD-JAPANの番組映像を見ていき、ジャーナリズムの役割、米政府などの体制側の対応の虚実、個人の良心などの問題への理解を立体的に習得していく。

Content/学習内容

  • 良心的兵役拒否など絶対的平和主義のクェーカー教徒シュモーは人道支援家であり、支援者に戦争の惨禍を発信し続けた。占領軍内部のクェーカー人脈を駆使して1948年念願の来日を果たす。当時の皇太子の家庭教師だったエリザベス・ヴァイニングもクェーカーで、皇室サイドとも交信した。 皇室のお墨付きも得て、広島入りしたシュモーは現地で歓迎を受ける。占領下での広島入りの方法とは何かを理解できる。そして、日米の様々な人々の協力を仰ぎながら、ボランティアで家を建て、人々は「シュモーハウス」と名付けた。「互いを理解し、家を建てることによって、平和が訪れることを望む」。シュモーは後に長崎でも家を建てている。 戦争の惨禍を経て、憎しみを超え、敵味方の和解とは何かを考えることができる。

  • Designated TV Program: NHK WORLD-JAPAN "Houses for Peace:Exploring the Legacy of Floyd Schmoe" (August 16.2020)

Staff/スタッフ

    • 講師
    ゲイル・ノムラ
    ワシントン大学
    名誉准教授
    • コンテンツ制作
    髙井 孝彰
    国立大学法人筑波大学 広報局
    次長

Specal Thanks:
Hiroshima City University|Robert Jacobs|Hitoshi Nagai
Judy Rudolph|Brooks Andrews
Hiroshima Peace Memorial Museum|Ryo Koyama
Tomiko Y. Schmoe|Hiroko Nishimura
Jean Walkinshaw|Sumiko Kitazawa
Yoshiaki Yoshizawa|Kumiko Yuki Takai
University of Washington Libraries’ Special Collections
The Chugoku Shimbun|SADAKO LEGACY
Densho|The U.S. National Archives and Records Administration

Competency/コンピテンシー

  • 想像力
  • 状況把握力

専門コンピテンシー

  • ジャーナリズム論
  • 歴史的事象に対する個人の良心

達成目標

  • 被爆の世界発信の実相を体系的に理解することができる。
  • アメリカ政府の原爆投下の正当化はどう形成されたのか理解できる。
  • 日本人以外の原爆犠牲者について理解し、被害と加害」の両側面への考察を行うことができる。
  • 原爆の惨禍に、ジャーナリズムはどう役割を果たしたか、理解することができる。
  • 個人の良心は、政治体制下でどう立ち向かえるか、事例的に理解できる。
  • 怒りと憎しみという戦争がもたらす敵と味方の感情にジャーナリズムがどう役割を果たすか理解できる。

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