子供から大人になる橋は、大学であると思います。
これから日本へ留学する人へのSiyaさんからのメッセージ動画
Siyaさん
出身:インド
2014年に家族と一緒に来日。趣味は写真・動画撮影、映画鑑賞。友達とのクラシック映画観賞会を定期的に行っている。最近見た映画は「パーフェクトブルー」。好きなスポーツはアルティメットフリスビー。
私は2014年に家族と一緒に日本に来て、中学校の頃からずっと日本にいます。大学は海外に行く計画もありましたが、コロナのときに家族と離れたくないと思って、日本の大学に入ろうと思いました。今、勉強しているのは、Interdisciplinary Engineering1) という工学のコースです。ほかの大学とはちょっと違って、ロボットの研究とか、私が興味のあるところがいっぱいありましたので、今の大学を選びました。
1) The Bachelor's Program in Interdisciplinary Engineering, University of Tsukuba.(https://www.global.tsukuba.ac.jp/undergraduate/interdisciplinary-engineering/)
今はほとんど物理や数学とかの勉強ですが、これからロボットについての実験もあります。私は、ロボットがどうやって社会の役に立つかに興味があって、社会のいろんな混乱とか、たとえば、地球温暖化の原因になっているゴミ問題、人がゴミのある場所でずっとゴミを分けるのを続けると病気になる可能性が高いので、そういう仕事をロボットにさせたら、たぶん、もっと簡単に問題が解決できるんじゃないかと思っています。

まわりで何か面白いことがあったら写真を撮る(江ノ島の海、撮影:Siyaさん)
私は日本の高校でIB2) というプログラムを受けていて、それは世界でも有名なコースで、とても難しい内容です。その勉強を頑張って、入学試験ではEssay (Personal Statement)を書いて提出しました。それがもし評価されたら、大学からインタビューに呼ばれるという流れなんですけど、そこで物理とか酸素とか工学への興味について質問もされますので、そういう本を読んだりとかしました。
2) International Baccalaureate(国際バカロレア:世界基準の教育プログラム)
2019年か2020年? はっきり覚えていないです。高校で学んだ日本語はJLPT3) よりレベルが高くて、文学とか論文を読んだり、レポートを書いたりしていたので、それに比べるとJLPTは一般的な知識で、なんとなくできたと思います。
3) 日本語能力試験(The Japanese-Language Proficiency Test, JLPT)(https://www.jlpt.jp/)
日本語は全体的に難しい言語じゃないかと思っています。たぶん、漢字が一番難しいし、「やさしい日本語4) 」で会話はどうとでもできるんですけど、ときどき、適切な言葉が思い出せない場合が多いので、そういうところは、とても難しいと思います。たとえば、「大学に入るための試験をやりました」というのは簡単ですけど、「受験」という言葉が分からないと会話ができない? いや、会話ができるんですけど、ちょっと子供っぽく感じたりしますよね。
4) 文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインほか」 (https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/92484001.html)
JLPTの勉強していたときに「みんなの日本語」5) を使いました。漢字の勉強をするために、漢字検定6) っていう試験があるんですが、その教科書がけっこう役に立ったと思います。わかりやすい説明があるし、ちゃんと何回も漢字を書かせるので、いいと思います。そして、Quizlet7) というアプリで、自分で漢字と意味を書いて、自分で練習する。今も大学の漢字の授業でよく使っています。

5) スリーエーネットワーク(2012)「みんなの日本語 初級Ⅰ第2版本冊」(https://www.3anet.co.jp/np/books/2300/)
6) 日本漢字能力検定協会・日本漢字能力検定 (https://www.kanken.or.jp/kanken/)
7) Quizlet(https://quizlet.com/)
大学生活全体として印象に残ったのは、毎学期、新しい友達が作れること、今まで経験していないことを経験することができることです。子供から大人になる橋は、私は大学であると思いますので、いろいろ学びました。友達がいるし、家族もいますが、今の自分が、自分で自分を守るのは一番大切で、自分で新しいことを学ぶ、自分でいろいろするのはとても大切だと思いました。
たくさんあります。一つは家族が近くにいることです。あとは、大学の授業料は海外より安い、でも、授業のクオリティはほとんど同じだと思いますので、それもいいことかなと思います。ときどき、大学の先生の英語がそんなにスムーズじゃないときも、理解できないときもありますけど、わからないことを聞くと、すぐに答えてくれます。
私の学部だと実験が一番大切なので、実験のファシリティはとてもいいです。海外の友達に聞くと、大学にたくさんの人がいると機械が使えないときもあるそうです。今、私の学年は8人しかいないので、だからいつも実験のときにみんなに機会があります。
私は、日本人が相手の気持ちを守る文化がとてもいいと思います。なんというか、海外では、自分がこうやりたいので、こうしましょうっていう考えが本当に多いです。もちろん、自分の意見を出すのは大切なんですが、それは悪いときとそうじゃないときもあります。日本では、相手の気持ちを考える場合が多いです。
例えば、コンビニとかで、この前までバイトしてたんですけど、お客さんがどうやって考えるか、どうやって店に入ってきて、たとえば、入ってすぐドリンクがあるのは、たぶん一番ドリンクを買う人が多いから、そういう店の作り方とか、もしお客さんに袋がないって思ったら、袋に入れましょうか?と聞くとか、たとえば、弁当を買ったら、おハシとかを店員が入れるのはとても親切というか、そういう文化がけっこう好きです。

最初に日本に来たときに、ここに来たくない気持ちが子供の私にあったんですけど、友達がみんなインドにいて、違う場所に行きたくないって、けっこうありました。でも、その後、日本のいいところを見つけて慣れてきました。
でも、今ちょっと悲しい、それは逆に、日本の、日本文化の好きって言ったところなんですけど、人が親切なのに親しい関係ができないという気持ちです。例えば、電車に乗っているときにみんなが静かであることはとてもいいと思いますが、インドだと、隣の人に話しかけたり、いろんな友達を作ったり、誰かが困っているときに何か助けましょうか? っていう気持ちがあります。でも、日本では、人に話しかけるのはちょっと迷惑になります。話しかけるのが迷惑であるということは、ときどき悲しすぎるかなと思います。
まず、この4年間で大学を卒業するというのが計画です。卒業後は、たぶんいったん日本を出て、いろんな国を旅行して、そこに住んでみて、将来、日本に戻ってくるかもしれません。まだ考えてないんですけど、ロボットの研究であるか、私はカメラとかが好きなので、動画を作ったりとか、なんでもいいんですけど、自分が興味のあることで、社会のために何かしたいっていう気持ちがあります。
日本の文化を知るのはとても大切だと思います。言語を知らない人は、まず言語を学ぶ必要があるし、日本語を学んだら、日本人と本当に会話ができるようになります。でも、言語を深く知るために日本の文化をわからないと、たぶん言葉だけわかるのに意味がないと思います。だから、日本に来たい場合は、自分の学部だけじゃなくて、日本の文化と日本語を学んで、それにちょっと興味を持つと、生活がスムーズにいけると思います。あと旅行して、たくさん日本のいろんな場所に行ってください。
Siyaさん、インタビューへのご協力ありがとうございました。
※インタビュー内容は、本人の了承を得て、一部省略・修正している箇所があります